(イラスト:荒東 慶美)
天文22年(1553)、武田晴信(信玄)は信濃国に侵略。4月には散々辛酸をなめた村上義清を戸石城から追い出し信濃を平定します。これを聞いた清水寺の本願(勧進集団)成就院は、武田晴信のもとに勧進に赴きます。大名の国盗りを聞きつけお見舞いと称し造営費用を集めるための募金活動に赴いたのです。ところが、5月になると村上義清が復活。小県郡を取り返されてしまいます。そんな時に成就院は晴信を訪ねてしまい、案の状、晴信に再平定したら奉加を納めるので祈祷しておいてと言われます。しょぼくれて帰る成就院。戦況はさらに悪化し、長尾景虎まで信濃に出張ってくる始末。第一回の川中島の合戦も起こりました。そんな年の暮の事、成就院に晴信から手紙が来ます。「きみたちの祈祷のおかげで川中島に勝利することができたよ。お礼として金10両を奉加としておさめます」という内容でした。勧進に赴いた時こそ、タイミング悪く営業の成果をあげることはできませんでしたが、やるべきことをやっていたからこそ、後々良いことがあったのだと思わせてくれるお仕事の事例です。 |